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発明家  永谷 研一 Blog 今日の富士山

今必要なのは、学校を超えた先生同士の学び合い

2013年09月11日 日記

今日の富士山 2013年9月11日(水)曇り
今日は残念ながら曇りで富士山は見えません。
今日は今から地元のFMラジオの収録です。「思い出音楽館」という番組で私の思い出の曲をかけてそのエピソードを語るという30分番組とのこと。
あー、めちゃ昭和な感じになりますよ。きっと(笑)
スクリーンショット 2013-09-11 7.36.35
さて
昨日は学校広報ソーシャルメディア活用勉強会(通称:GKB48)でのカンファレンスに登壇しました。
14人の人たちが教育について熱く語りました。
http://gkb48.com/page_2ndconference/2nd_speaker/
10分間のTED式プレゼンということで、初経験でしたが練習もしたりして楽しみました。
珍しく登壇する前は緊張しました。壇上に上がってしまったら落ち着きましたが。
GKB48はFacebookの非公開グループでつながり現在1000人まで増えているそうです。
昨日の各人のプレゼンを聞いて学校広報という枠を超えて、学校改革、教育改革のネットワークまで
発展していっている感じを受けました。

以下が私の10分間のプレゼンの内容(原稿)です。だいたいこの通り話せたと思います。
少し長いですが読んでみてもらえたら嬉しいです。
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GKB48 第2回カンファレンス(2013/9/10) TED的プレゼン原稿(永谷)
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みなさんは、佐賀県の武雄市はご存知ですか?あのあのTSUTAYAに図書館運営を任せたことで有名です。
私は武雄市のiPad利活用教育推進アドバイザーに就いています。そこで「なぜ武雄の小学校ではうまく行くのか」と聞かれます。今日はその話をしたいと思います。その前に少し歴史を振り返ります。

ITが教育に活用される時代が来ることはわかっていました。私は授業中に使うもの「教科書、筆記用具、そして携帯電話」と話してきました。
2001年 最初は大学でした。授業中に「質問や意見」をケータイに打ち込む。先生がコメントする。また事前学習にケータイを利用する。他の学生の意見からもたくさん学べる。一方方向の聞くだけの授業から双方向のコミュニケーションがある授業。それが、コミュニケーション・ラーニング Cラーニングの世界です。

2001年から8年間はなかなか受け入れてもらえませんでした。「前はアホか。うちの学校はケータイは持ち込み禁止よ」と追い返された事もありました。
それが2008年にiPhone、2010年にiPadが出たときから変わります。アホと言われた人が先見の明がある人と言われます。私は変わっていないのに。。でも、サンキュー!スティーブ(笑)

そんなある日、タブレットの事例を見せてくれ、ある教育委員会に呼ばれたときです。デモを見たあと、同席していた先生が仰った言葉が忘れられません。
「こんなもの児童が使うと思えない!あなたは私たちの子どもたちとの触れ合いを否定するのか!」と。そそくさと帰りました。悔しかったです。

武雄市の2つの小学校で2011年からiPadを4年生以上に配り授業が開始されました。
子どもがログインするとすべての授業名が表示されます。

武雄も当初は、大学と同じスタイルの授業でした。児童が小テストを答えたり、アンケートに答えたりした結果を先生がプロジェクターに投影して、コメントするのです。

その姿をみて私は改善の余地あり!と感じました。大学と違い小学校の授業は、先生がいつも教壇にいないことです。机の間をグルグル回ります。机間指導といいます。そしてつまずいている児童に個別に指導します。一斉指導、机間指導、個別指導が繰り返されていきます。

このようなスタイルでは、ひとり一人の理解度を素早く把握し、教室全体の見通しを立てることが重要です。見通しを誤ると指導の生産性がガクンと落ちます。
例えば、ある問題を分かっていない児童に個別指導を行います。机間指導をしながら、また分かっていない児童を見つけたらまた個別指導をします。次第に、ほぼ全員が分かっていると思っていた問題が実はクラスの半分が理解できていないことを知ります。すると慌てて一斉指導に戻します。その間数分間をムダにするになります。もっと早く一斉指導に切り替えるべきだったのです。

そんな状況を打破するのは、先生が使うタブレットです。プリントの小テストをタブレット
で解かせることで、○つけの時間がゼロになるだけでなく、先生の手元のタブレットで瞬時にクラス全体の理解度がわかります。また誰がどう答えたか分かります。すると指導の生産性が格段にあがるのです。先ほどの教壇からコメントするだけの姿とはだいぶ違うでしょう。

これは「授業での時間の使い方の革命」です。けっして大げさではないことは定着度の
調査によっても明らかになりました。同じ児童を5年生6年生の2年間追跡した学力調査のデータですが、6年生になると全国平均よりも大幅に上回っています。今ならあの「触れ合いを否定するのか?」と言った先生にハッキリ言えます。「触れ合いを大事にしたいからこそ、ICTを活用するのです」と。

この写真を見てください。えんぴつ、ノート、消しゴム、そしてタブレット。この机の上が
フツーの姿です。
この児童は、右手にタブレット、同時に左手にエンピツを持とうとしてます。(笑)
彼は特別ですか?いえ。彼に取ってはフツーなことです。
ケータイはスマートフォンになりそしてタブレットになりました。いよいよ携帯電話が
学習端末として、授業の1つの道具になる時代が訪れたのです。これはむしろ自然なことです。

武雄市の試みとして反転授業という考えがテレビで取り上げられるようになりました。先日も全国放送されていました。それはそれでいいのですが、最後のニュースのまとめ方に疑問を持ちます。それは、「先生が動画で授業を発信し、児童が好きな先生を選ぶ時代が来た。」というまとめ方です。それを「授業の質の競争」と言うのです。私はこのまとめ方は違うと思っています。
今必要なのは、“競争”ではなく“先生同士の学び合い”です。

さて「なぜ武雄はうまくいっているか?」について話しましょう。それは、「学校を超えて、先生があつまり、授業のより良い方法を話し合ってきた文化があったから」です。
ICTが来るずっと前から、武雄市の先生は、私費で公民館にあつまりお互いの授業の方法を研究し合ってきたのです。明日、またいい授業をするために。ICTが導入された今でもそれは変わっていません。
もし武雄のすごさを本当に感じたいのであれば、毎年7月末ちょうど夏休みに入った直後行われる公開授業を見に行ったらよいと思います。とても暑い時期にやるので体育館は蒸し蒸ししています。
凍ったおしぼりやペットボトルが出るのですが、すべて先生方の手作りです。
300人以上が県内県外から訪れる公開授業の運営を先生自らが学校を超えて手伝ってやっています。誰かからやらされているわけではありません。根付いている文化なのです。
学校を超えたネットワーク。武雄の成功の本当の理由はココにあります。

私はすべての学校のフツーの先生がつながったときに、日本の教育は転換すると思っています。いい先生はたくさんいらっしゃいます。その先生の切瑳琢磨が個人プレーではなく、学校を超えてできるようになったら。すべての学校で、一番いい授業の方法をやることができます。パクリ大歓迎でしょう。子どものためです。自分の考えと他の方法をアレンジして新たな方法を編み出すこともできます。ただチャレンジには失敗もつきものです。でもいい授業にしようと努力する姿を児童にも親にも見せせるべきだと思います。なぜなら先生自身が学んでいる姿に子どもたちは学ぶのです。そして地域も学校をもっと応援していくべきです。これからの日本は、町全体で学び合う文化、学び合うコミュニティー作りによって復活していくのですから。

ハッキリいいましょう。子どもたちは今の日本でやられている最高の授業を受ける権利があります。
先生は、今この瞬間に行われている最高の授業の情報を仕入れて、次の授業で実施する責任があります。最初はうまくいかないかもしれません。でもそれは恐れてはいけません。先生同士が学校を超えてつながり切磋琢磨しているこの姿にこそ、子どもたちは”これからの時代を生きる力”を見出すのですから。そして私はこの先生の挑戦を力の限り支援していきます。

コミュニケーション・ラーニング。 日本の教育の未来がここにあります。
ご清聴ありがとうございました。

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いろんな方に、「伝わったよ」と好感触のフィードバックをもらいました。私としてはもっと間を使ったらよかったかと反省しています。
ただ、一つ一つの言葉は昔よりも重く伝わるようになりました。なぜなら単なる考えていることではなく本当にやってきたことだからです。
汗をかいた実績はどんな言葉よりも伝わるってことですね。

さあ
今日も元気にいってらっしゃーい。