保護者対応が先生を忙しくさせる? 教員の7割が負担感(文部科学省「学校現場における教職員の業務実態調査」)
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文部科学省の「学校現場における教職員の業務実態調査」で、公立小中学校の教員が最も負担を感じているのは、
(1)国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応(小87.6%、中86.4%)
(2)研修会や教育研究の事前レポートや報告書の作成(小72.9%、中71.5%)
(3)保護者・地域からの要望・苦情等への対応(小71.4%、中71.1%)
(4)児童・生徒、保護者アンケートの実施・集計(小69.3%、中67.2%)
などでした。
調査は2014(平成26)年11月、全国の公立小中学校451校を対象に実施し、
9,848人の教職員から回答を得ました。
調査の大きなポイントは、業務に対する教員の負担感率(「負担である」と「どちらかと言えば負担である」の合計)を明らかにしていることです。
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この調査で言えることは、アンケート業務を面倒と感じていることが1位と4位にあるということです。なぜアンケート調査が多くなるかというと、政府が何かの施策を発表し国会で質問をされる。その内容を官公庁が調査に入ります。
同じような質問を県議会でも市議会でもされていますので、2重3重で同様の調査依頼が全国の教育委員会に届くという構図が出来上がるのです。たとえば同じような「いじめ実態調査」が何通も来たという笑えない話もあります。学校(とくに教頭先生)がそのアンケート回収業務に奔走することになります。本来やらねばならない学習指導や教員支援の時間が削られ、服務の仕事ばかりになります。
真面目な学校の先生方は、一生懸命回答しようとします。大事な生徒指導の仕事時間が削られていたら本末転倒です。
また上からのアンケートはどうしてもバイアスがかかる調査結果になりがちです。
ではどうしたらいいのか?
私はアンケート調査をなくせないかと考えています。教員が本音で話し合える場を作ったほうが有効なのではと考えます。
アナログとデジタルの両面です。
まずアナログはワークショップの場の活用です。学校の中ではクラスを超えて学習指導法について話し合い、町では学校を超えて教員が集まり教材研究などで話し合います。この研究は、学会発表など外部に向けての成果発表につなげることも大切でしょう。
このような教員同士の時間を作るのは学校マネジメントの仕事です。要は校長先生の仕事です。他の余分な仕事をなくし、その学びの場に気持ちよく参加できるように環境を整える必要があります。教育委員会と連携をとっていくのも大きなマネジメントの仕事でしょう。場合によっては教育委員会とは違う考えの場合も多くあります。それは長年のネットワークを駆使して現場の先生のパフォーマンスが最大に発揮できるように、根回しするのもの大事な校長先生の仕事となります。
このような安心・安全で前向きなアナログの場がある前提で、次に、教員SNSのようなネットワークの場の活用です。
先生がインターネット上のフォーラムにて教材やツールを発表するのです。その中で様々な先生と交流していく。そのような相互の信頼関係のある安心・安全な場において、本音の意見を聞けば、本当のデータが集まるでしょう。
要は主体的なアンケート活動です。そのデータを欲しい人が取っていけばいいのです。もちろん匿名性は担保したほうがいい場合もあります。逆に記名式にしたほうがよい場合もあります。
そのような本音の意見の出る場とは、どんな場でしょうか。
学校の先生はハンドルネームで外部のSNSに書いていることがあります。実際理由を聞いてみると「モンスターなんとか」の対応で大変になるからとのことです。そのようなインターネットに公開されている場は問題です。
しかし、学習指導について共有する教員同士の安心・安全の場はネットワーク上で作り上げることができると感じます。「先生同士が牽制しあってそんな場はできないよ」という人がいるかもしれません。本当にそうでしょうか。そんなこと実は簡単に突破できると考えています。
先生の本分は、学習指導のはずです。その学習法という点において先生同士は、すべて同じ研究仲間なのです。それぞれの視点や価値観の違いはあっていいでしょう。むしろその価値観の差があって、発展的議論があったほうが場としては活性するのですから。
そのような大きな理念のもとに理想の姿を実現させていくことがこれから大事なのだと感じます。
以上